「うん、またね」


わたしが手を振ると、慎くんは、チラリとおーちゃんに視線を向けて……、再び、わたしを見た。


「……愛ちゃんも、いつでもウチに引っ越して来なよ」

「……えっ」


小声で言われ、戸惑いの声を上げると、叔母さんが慎くんの後頭部を小突く。

「いてっ」と小さな声が聞こえた。


「……慎くんて、おーちゃんのこと、嫌いなの?」


以前から薄々感じていた疑問を、わたしはお姉ちゃんに耳打ちした。


「……なのかも」

「なんでだろ」

「さあ……」


と言いつつも、お姉ちゃんは、なんだかニヤ、と怪しい笑顔を向けてくる。

わたしはわけもわからず、首を傾げた。