——病院でのリハビリを終えたお姉ちゃんは、今日、退院し、……そしてこのまま、叔母さんの家へと行ってしまう。
わたしの荷物はあらかじめ、おーちゃんの家へと少しずつ移動させ、残ったお姉ちゃんの荷物を、今こうして車に乗せたところで、わたしたちの住んでいた304号室は、空っぽとなった。
「……それじゃ、行こっか」
叔父さんが、一足先に運転席へと乗り込んだ。
「……じゃあ、愛ちゃん、旺太くん。近いうちに、結ちゃんの様子見がてら、ご飯でも食べに来てね」
「うん。絶対、行くね」
「旺太くん、……愛ちゃんのこと、よろしくね」
「……はい。任せてください」
躊躇うことなく、そう返事をしたおーちゃんに、わたしはくすぐったい気持ちになる。
横顔を盗み見ると、ちょうど目が合って、照れ臭さから、お互いにはにかんだ。
「慎も、ほら」
叔母さんに促されて、慎くんが少し気だるげに口を開く。
「またね」