「……だって……」

「でも、……ありがとう。わたしを想ってくれる愛花の気持ちは、すごく嬉しかった」

「……お姉ちゃんは、……大丈夫なの?」


どう聞いていいかわらかずに、結局、月並みな言葉しか出てこなかった。


「……うん、大丈夫だよ。……おーちゃんのことを好きな気持ちと同じくらい、……ううん。それ以上に、わたしはおーちゃんの傍で笑ってる愛花を見てるのが、好きみたい」


「おーちゃんには内緒だよ」と、口元に人差し指に手を当てるお姉ちゃん。


「……ありがとう」


わたしは、お姉ちゃんの首元に、ぎゅっと腕を巻きつけた。


「……わたしも、おーちゃんに内緒にして欲しいんだけど」


声を潜めて、お姉ちゃんに囁くように告げた。


「本当は、おーちゃんと一緒にいたいって思う気持ちと同じくらい、……お姉ちゃんと離れて暮らすの、寂しいよ」

「……そんなの、わたしもだよ。……でも、わたしも、すぐに元の生活に戻れるわけじゃないし、……おーちゃんがどうしてもって言うから」

「……そんなに?」

「うん。愛花と離れるなんて気が気じゃないって感じ」

「……」


おーちゃんてば、昨日は、距離とか関係ないって言ってたくせに……。


嬉しい気持ちが、うずうずと巻き起こる。


「あ、これも内緒だよ」


すっかり内緒ごとが増えてしまって、わたしたちは、お互いに顔を見合わせて笑った。

ベッドの隅に腰に下ろして、甘えるように、お姉ちゃんの胸へ頬を寄せる。

お姉ちゃんがわたしの背中を抱くと、まるで小さい子にするように、優しく摩ってくれた。

おーちゃんが戻ってくる足音を聞きつけるまで、……わたしたちはしばらく、そうして抱き合っていた。