ふたりぐらし -マトリカリア 305号室-



お姉ちゃんはわたしをじっと見つめると、嬉しそうに微笑んだ。


「今気づいたけど……、背、伸びた? 制服、ピッタリになったね」

「……っ、うん」


わたしは、ブレザー袖を引っ張るようにして、くるりと回ってみせる。

お姉ちゃんが眠っていたときに、話したかったことだ。

こうして見せることができて、わたしは、お姉ちゃんが目を覚ましたことの嬉しさを、改めて身にしみて感じた。


「その花束……」


お姉ちゃんの視線に、わたしは、あ、と気づく。

おーちゃんからもらった花束を、抱えたままだったことを思い出した。


「その、これは……」

「おーちゃんってば」


お姉ちゃんはおーちゃんを見て、


「告白に花束って……ちょっと、キザすぎない?」

「……たまたま、近くに売ってたんだよ」


ニヤニヤとした視線を向けられたおーちゃんは、それを躱すように、なにやら荷物をゴソゴソ漁った。


「飲み物、買ってくる」


何が欲しいか聞かれ、反射的に「お茶」と答えると、病室にわたしとお姉ちゃんを残して、おーちゃんは出て行った。