わたしを引っ張る力を緩めると、手すりを掴んだ方の手を剥がされ、両手を塞がれる。
向かい合う形で立ち止まった康晴は、伺うようにわたしを見下ろした。
「……じゃあ、俺と逃げる?」
「……」
「愛花があの人から逃げたいなら、……今度こそ、俺がつけこむチャンスってわけだろ」
「……それは……」
どう答えていいかわからずに、目を泳がせる。
そんなわたしを見て、
「……なあんてな」
康晴はいたずらに笑うと、パッとわたしから手を離した。
「お前の気持ちも、わからなくもないよ。……ただ、このまま逃げるだけってのは、よくない」
「……康晴……」


