***
強く腕を引かれ、その力に対抗するように、わたしは必死に重心を傾けた。
階段の踊り場まで引っ張られて来たところで、手すりに手をかけ、足を踏ん張る。
下校していく生徒たちが、わたしと、わたしを引っ張る康晴に、不審な目を向けて通り過ぎていった。
「……おい、何してんだよ。あの人、どう見てもお前を待ってるだろ。さっさと行くぞ」
「……やだっ。行きたくない」
「……んなワガママ言ったって、多分、お前が来るまで待ってるつもりだと思うけど」
「じゃ、今日は帰らない」
「無茶言うなって」
美月はおーちゃんの姿を見るなり、さっさと帰ってしまった。
きっと、おーちゃんに余計なことを言っているに違いない。
……さらに会いたくないっ。
どうしてもイヤイヤと首を振っていると、康晴は困ったように息を吐いた。


