「お姉ちゃんが倒れたのはわたしのせいなのに、おーちゃんまで奪うなんて……、そんなことできない」

「なにそれ。おーちゃんは物じゃないでしょ?」

「そうだよ。おーちゃんがどうするべきかだって、お前が決めることじゃない」

「……」


ふたりから降りかけられる言葉に、ジワリと目に涙が浮かぶ。


「……だって、じゃあ、どうしたらいいの。……知っちゃったものは、しょうがないじゃん。わたしにとって、お姉ちゃんはたったひとりの家族なの。……この先、おーちゃんと一緒にいる度に、お姉ちゃんへの後ろめたさを感じ続けるんて、……わたしには、耐えられない」


わたしの言葉に、美月は呆れたように息を吐いた。

窓へと寄りかかり、わたしを見下ろす。


「そんなこと言ったって……、じゃあ、愛花はおーちゃんを好きな気持ちを我慢したまま、ふたりを応援するの?」

「……うん」


だって、……それしか、思いつく方法がないんだ。

お姉ちゃんには、これ以上、辛い思いをして欲しくない。