「ええっ!? じゃあ、お姉ちゃんとおーちゃんの恋のキューピットになるような真似してきちゃったってわけ?」

「……美月。言い方、なんか古臭い……」

「信じられない……。おーちゃんといい感じになった、って聞いたと思ったら、最近元気ないから、何かあったなとは思ってたけど……」

「その話は、もういいって。それよりも、この後——」

「康晴、どう思う?」


美月は拳をマイクのようにして、康晴へと傾けた。


「……美月、お前なあ。デリカシーって言葉、知ってる?」

「質問に質問で返さないでよ」

「……。まあ、もし俺があの人の立場だったら、ついこの間まで好き好きって言ってきてたくせに、一方的にサヨナラされて、逃げられて、……たまったもんじゃないな」

「……もう、その話はいいってば……」


わたしは耳の痛い言葉から逃れるように、机の上に顔を埋めた。

放課後、美月をご飯に誘っただけのはずが、いつの間にかおーちゃんとの間にあったことを聞き出されていて、挙句、気づけば康晴まで話の輪に加わっていた。


「夜ご飯、食べに行こうよ……」