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コンコン、とドアをノックすれば、向こう側から「はい」と返事が返ってきた。

どうやら、結花は起きているみたいだった。

昨日の今日だから、こうして反応があることに安堵すると同時に、ジワリと感動が滲む。

病室のドアを開けると、少し身を起こした結花が、俺を見て嬉しそうに微笑んだ。


「あれ、お仕事は?」

「休んだ」

「サボりだ」

「違うよ」

「うそうそ。おーちゃんが真面目なのは、知ってるよ」


結花は読んでいた本をパタリと閉じると、机の上に置いた。