「愛花」
病室からおーちゃんが顔を出して、わたしの思考が途切れた。
「結花のやつ、……少し疲れたみたいで、寝たよ」
「……そっか……」
「……お前、ちゃんと話せた?」
「うん。話したっていうか……ほとんど、泣いてたけど」
「だろうな。……もう、腫れてる」
目の前までやって来たおーちゃんは、手をこちらに伸ばして、前髪をよけ、わたしの瞼に触れた。
冷やしていたからか、おーちゃんの指先をやけに熱く感じる。
触れられる心地よさに目を閉じようとすると、いきなり、隣にいた慎くんが立ち上がった。
おーちゃんを見て、
「ここ、どーぞ」
と、なぜか席を譲る。
「……ありがとう」
少し戸惑いながらも、おーちゃんは、慎くんと入れ違いに腰を下ろした。
「……母さんがさ、愛ちゃんに話があるって」
「叔母さんが?」
「うん。呼んでくるよ」
慎くんはそう言うと、病室の中へと入って行った。


