ふたりぐらし -マトリカリア 305号室-



パッと隣を見ると、慎くんはどこか照れたように、顔まで伏せてしまった。


「……ありがとう。すっごく、嬉しい」

「……ん」


お姉ちゃんが入院するときに会ってから、全然会えてなかったのに……。


……気にしてて、くれたんだ……。


胸の内が、ポカポカと温かくなる。


「……あのさ、旺太さん? だっけ。……どんな人なの?」

「え?」

「ほら、母さんたちは、あの人のこと、だいぶ気に入ってるみたいだけど……俺、全然知らないし。今は愛ちゃん、あの人のところにいるんでしょ?」


わたしはコクリと頷いた。


「おーちゃんは、優しいよ。……ただのお隣さんなのに、わたしたちのこと、ずっと助けてくれてて……。わたしが寂しくないようにって、一緒にいてくれてて……」

「ふうん」


わたしの返答に、何やら慎くんは不満げだった。

グッと眉を寄せて、病室の方を見つめながら、


「……俺さ。ずっと、なんで? って、思ってたんだよね。……普通、愛ちゃんたちが頼るべきなのは、『ただのお隣さん』じゃ、ないんじゃない」