ふたりぐらし -マトリカリア 305号室-




***



辺りが薄暗くなっていたことになんて、ちっとも気がつけなかった。

携帯の振動で、わたしはやっと、ベッドに突っ伏していた身を起こした。

画面を確認すれば、おーちゃんからの着信だった。

胸が一瞬で張り詰める。

きっと、わたしが遅いから不思議に思ったのだろう。


……おーちゃん……。

……わたし、どうしよう……。

これから、一体どんな顔でおーちゃんと過ごせばいいの……?

……お姉ちゃんの気持ちを見なかったふりなんて、わたしにはできない……。

もう、平気な顔して、おーちゃんと一緒にいるなんてこと……。

こんな、抜け駆けみたいな真似……、できない……。


いつの間にか乾いていた目元が、再び熱を持ち始めた。

わたしは電話に出られないまま、……やがて、携帯の振動は止んでしまった。

とても掛け直す気にはなれなくて、力なく携帯を放ると、再びベッドにもたれるようにうずくまった。