「……」


無垢な言葉がグサリと刺さる。


「ご、ごめん」

「いや、謝るなよ。余計に傷ついた」


キッチンからやってきた愛花は、ソファを背に床に座る俺の横に、ちょこんと腰を下ろした。


「まさかそういう趣味があったとは」

「心外だな。純粋に成長を感じたかっただけだって。中学の体育祭は、見に行ってただろ。去年はそれどころじゃなかったし……。別に下心はないよ、……ちょっとしか」

「……えっち」

「いやいや、男のロマンだから、体育着」


そりゃあ、好きな人のいろんな姿を見るのが楽しみなのが男心ってものだ。

当時、体育のときにだけ髪を結んでいる女子なんかを見て、仲間と盛り上がっていたのが懐かしい。


……そういえば、高校の体育祭ってことは、あいつもいるのか……。


前に学校まで愛花を迎えに行ったときに近くにいた、男子生徒の顔を思い浮かべた。

あいつは愛花と一緒に、体育祭を楽しめるわけだ。


……ズルいな。