*** 後ろで、音を立ててドアが閉じられた。 真っ暗になった廊下の電気をつけようと手を伸ばすと、俺の体の前で、愛花が身を縮こまらせる気配がした。 明かりがついた部屋へと、足を踏み入れる。 緊張の一歩だった。 ……気を引き締めないとな。 覚悟を決めて廊下を進んでいた俺は、ふと物音のしない後ろを振り返った。 愛花が玄関に立ち尽くしたまま、動いていなかった。 「なにしてんの」 ガチガチに体を固くしている様子がおかしくて、笑ってしまう。 俺の声に、愛花は慌てて動き出した。