「でも、なんでお前まであそこで寝てたの」

「……えと、それは」

「まさか、さすがにひとりで寝れなかったなんて言わないよな?」


からかうように問われて、わたしはぷいっと顔を逸らした。


「そんなおこちゃまじゃないですう。疲れてただけですう」

「あっそ」


……おーちゃんの寝顔を盗み見て、ち、ちゅーしちゃいました……なんて、とても言えない。


昨夜の自分の行動を思い出して、今さら恥ずかしくなってしまう。

熱くなってきた頬を誤魔化すように、今度はわたしが尋ねた。


「おーちゃんこそ、昨日のこと覚えてるの?」

「あー……まあ、大体は」


罰が悪そうに頬をさする様子から、ビンタ事件のことは覚えてるみたいだ。


「もしかしてあのお姉さん、……彼女、とか?」

「違うって。ただの会社の先輩」

「ふうん」


後ろめたさなんてこれっぽっちも感じさせず、なんてことないように言ったおーちゃん。

本当に興味がない、って感じだ。