大切にしたい。 だからこそ俺は、心に蓋をして、愛花の気持ちに気づかないふりをして、もう一度彼女を妹のように思う必要があった。 そして——その決心は、今も変わらない。 「妹か。……そっかそっか」 なにやら噛みしめるように、萩原が繰り返した。 「なんで少し残念そうなんだよ」 「あ、いや……」 萩原は少しだけ言い淀んだ。 そして、すぐに深刻そうな顔をして、 「俺の身の安全、保証されなかったな、って……」 「……」 俺は右手で手刀を作ると、それを萩原の頭に、無言で振り下ろした。