……このままだと、よくないよな。 自信が揺らいで、気づけば、口をついて出ていた。 「……彼女じゃないよ」 俺は、そっと目を伏せる。 「家にいるの、妹だから」 外に出た言葉は、まるで言い聞かせるような、抑揚のないものとなった。 耳に届いた自分の声が、ぐらぐら揺れていた壁を補っていく。 「……妹? お前、妹いたの」 「言ってなかったっけ」 「言われてない」 隣の萩原から、なあんだ、という拍子抜けしたような声がこぼれた。