ふたりぐらし -マトリカリア 305号室-


くらくらする頭を押さえながら、ソファに身を投げた。


……飲みすぎた。

少し調子乗ったな。


後輩の前だからと、いつもより頑張ってしまったことを後悔した。


もうこのまま、今すぐにでも寝れる……。


呼吸が深くなりかけたところで、ぐいっと服が引っ張られる。


「ちょっと、スーツ皺になっちゃうよ」


身をよじるも、するりとスーツを脱がされて、ネクタイを解かれた。

息苦しさがなくなって、ますます眠ってしまいそうだ。

少し離れたところで、愛花がなにやらごそごそやっているのを、目を閉じたまま聞いていた。


「お酒弱いくせに、カッコつけて飲みすぎるからだよ」


……図星。


「べつに、カッコつけてねーし……」

「酔ってるからって、あのキレイなお姉さんにデレデレしちゃってさ」


……それは断じてしてない。