よし——。
起きてくれていたことに安堵し、感謝したのも束の間、
「……おかえり、おーちゃん」
なぜだか不機嫌そうに顔を覗かせた愛花に、俺は、——くらりと目眩がした。
どこからどう見ても、愛花は風呂上がりだった。
濡れた髪。
血色のいい頬。
華奢な体に身につけているのは、……俺のTシャツ。
——おいおい。
心の内の動揺を悟られないように、なんとかポーカーフェイスを保つ。
笑顔でただいま、と答えれば、失礼なことに顔をしかめられた。
……悪かったな、酔っ払いで。
それより、なんなんだよ……その格好は。
そんな警戒心ゼロで出迎えて、もしもここにいるのが俺じゃなかったらどうするつもりだよ。
ほんと、勘弁してくれ……。
これは後でお説教だな。


