首を傾げながらも、手を引かれるまま、俺は改札をくぐった。
そのあと、家までの道のりを聞かれ、どうやら彼女は俺を送ってくれるつもりなのだと理解した。
……でもさすがに、女性に送ってもらう男って、どうなんだ。
「杉本さん、ほんと大丈夫ですから。俺、ひとりで帰れますって」
「そんなによろよろしてちゃ、説得力ないよ」
そんな押し問答が続いたまま、結局俺のマンションまでやってきてしまった。
……困ったな。
杉本さんがどういうつもりでここまで付いてきているのかわからないほど、俺もバカじゃない。
会社での確認は、そういうことだったのか……。
つーか店を出るときにうまく断れよ、自分……。
正直どんな流れでこうなっているのかまったく覚えていないので、俺は頭を抱えたくなった。
「じゃあ、うちここなんで……ありがとうございました」
最後の抵抗で、マンションの下でそう告げると、杉本さんからえっ、と声がこぼれた。
手を取られ、甘えたように腕にくっつかれる。


