「怖、かった……」


ビクともしない、男の子の力。

いつもと違う康晴の目。

おーちゃんじゃない唇の感触。


蘇ってくるそれらに、体が震えだす。

もし、おーちゃんが帰ってこなかったら。

そう考えるだけで、怖くて怖くて仕方なかった。


「一緒にいて……。嫌いに、ならないで……」


どうしてだろうっていくら考えても、明確な答えは出てこなかった。

でも、これは揺るぎない、確かな想いなんだ。

他の人に触れられて、体が、心が、そう叫んでいる。