込み上げてくるものに耐えるように、わたしは肩で大きく息をした。
「……ごめん、なさい……」
「……」
「ごめん、康晴……」
滲む視界を隠すように、目を伏せた。
……今傷ついているのは、康晴だ。
傷つけたのは、わたし。
ここでわたしが泣いてしまうのは、きっとズルい。
歯を食いしばり堪えたけれど、耐えきれずに、涙はぽとりと床に落ちた。
「……ここ、あいつの家なのか」
『あいつ』がおーちゃんのことを指していることは、聞かなくてもわかる。
素直に頷くと、康晴が苦しげに吐息をもらした。
「お前は、あいつと、……っ」
ドサ、と音がする。
髪の中に侵入してきたもうひとつの康晴の手に、それがビニール袋の落ちた音だと気がついた。
