「……それは……」
どう答えればいいのかわからず、目を泳がせた。
康晴が手を握りしめたからか、ビニールがガサ、と音を立てる。
「……前に、学校にお前を迎えに来てた人さ」
わたしのそばまで歩み寄った康晴は、窺うようにわたしと向き合った。
「お前の兄貴、なんだよな?」
すがるような笑みを向けられて、わたしは息をのんだ。
……本当のことを言わなきゃ。
そう思うのに、言葉が喉に引っかかって出てこない。
けれど、黙ったままのわたしを見れば、康晴には答えがわかってしまったはずだ。
「……やっぱりな」
目を合わせられなくて下を向いていたわたしの視界に、こちらへ踏み込んでくる康晴の足が映った。


