わたしは少し遅れて、今日の学校の予定が、授業ではなく体育祭の片付けだけだったことを思い出した。 「あ……ありがとう」 「いや。……足、大丈夫か」 「……うん……」 「……それは、よかった」 「……」 「……もしかして俺、お前の家、……間違えた?」 小さく首を振ると、「だよな」と小さな声が返ってくる。 康晴の視線が、ゆっくりと、わたしのすぐそばにあるネームプレートに移された。 「——『樫葉』って、誰?」