「……わたしがこっちにいるって、よくわかったね」
「あいつに送ってもらったなら、こっちだと思って。……足、怪我したんだって?」
「うん……。康晴と話したの?」
「挨拶程度だけどな」
おーちゃんは玄関に置いたままだったわたしの荷物を掴むと、軽々とわたしを肩に担いだ。
ぐらりと揺れる体に、慌ててスーツにしがみつく。
わたしの足にかろうじてぶら下がっていたローファーが、ずり落ちて地面で音を立てた。
「ちょ、待って待って! 怖い! 落ちる!」
「落とさねーよ」
「すぐそこまでは、自分で歩けるってばっ」
「あんま暴れると、ぱんつ見えるよ」
「エッ」
パッ、と片手でスカートを押さえるわたしをそのままに、おーちゃんは305号室へと移動した。


