わたしは、足を踏み出した。
足元から走った鋭い痛みに、ほとんど倒れこむ形で、ノブを掴む。
そのまま勢いよく、ドアを開いて——、
「康晴、待って……!」
廊下へ飛び出す前に、すぐ目の前に立っていた誰かとぶつかりそうになった。
寸前でブレーキをかけてよろけたわたしの腕が、がっしりと掴まれる。
驚いて見上げたところで、あ、と声がこぼれ落ちた。
「——おーちゃん……」
「お前の友達なら、もう下りてったよ」
「あ……」
ひょこ、と廊下の向こうを覗いても、もう誰もいなかった。
……間に合わなかった……。
……次、会ったとき、絶対話そ……。
しゅんと視線を落として、自分が靴下のままであることに気がつく。
ドアに寄りかかりながら、痛くないほうの足で玄関の中へ足を伸ばして、ローファーを引っ掛けて持ってくると、つま先だけ雑につっこんだ。


