ふたりぐらし -マトリカリア 305号室-



「……痛むのか?」


突然覗き込まれて、わたしの口から「へ?」と間抜けな声がこぼれる。

顔を上げれば、わたしの荷物と自分の荷物を重ねて肩にかけている康晴が、心配そうにこちらを見ていた。


「なんか、静かだから」

「あ……大丈夫だよ」


言ってから、意識してしまったからか、足首のズキズキが増しているように感じた。

気づけば、マンションまで後少しのところまでやって来ていた。

ぼんやりとしている間に、長い距離を歩いていたみたいだ。

痛む足になるべく体重をかけないように、ぴょこぴょこ進んでいると、ふと手を取られる。


「ちょ、ちょっと……っ」

「俺のほうに、体重かけていいから」


康晴は胸の高さで肘を曲げるようにして、わたしの手を上に、ぎゅっと力を込めた。

触れている箇所が必要以上に熱く感じられて、つられるように頬も上気していく。


「……んな照れんなって」

「て、照れてないよ。康晴こそ、熱いし……」

「それは……、愛花のほうだろ」

「……」