「それより、はい。これ荷物」 「ありがとう」 「……捻挫してたんだって? 他はなんともないって、言ってたくせに」 「あのときはほんとにそう思ったんだよ」 「気づかないとか……。お前らしいな」 バカにされたように言われて、ぷくっと頬を膨らませる。 「後になってから痛くなったの」 「ハイハイ」 ……なんて。 あのとき確かに、痛いなって思ったけど……。 目を開けてすぐ康晴の顔が近くにあったことに驚いて、それどころじゃなくなっちゃったなんてこと、言えるわけがない。