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窓の外で、各組が集まって記念写真を撮っている。

惜しくも紅組の勝利で幕を閉じた体育祭の様子を窓枠越しに眺めるのは、少し寂しくもあったけれど、これはこれで貴重な体験で楽しいものだった。


……でもやっぱり、クラスの集合写真に混ざれないのは、寂しいかも。


賑やかな外の様子にひとりしょんぼりしていると、廊下のほうから、誰かがバタバタと駆けてくる音がした。


「あれ、……どしたの」


西に傾いた陽の光を受けて、白色からオレンジ色に染まり始めた保健室の扉を開けたのは、康晴だった。


「お前の残りの荷物、持ってきた」

「……美月は?」


予想と違う人物の登場に、目をぱちくりとさせる。

教室に残したままのわたしの荷物を持ってきてくれるというのは、美月の申し出だった。

歩くのを控えたほうがいいから、保健室で着替えてそのまま帰りなよ、と言ってくれたのだ。

だからてっきり、保健室に入ってきたのも美月だと思っていた。