三人だけの保健室がなんとも言えない空気に包まれて、グラウンドから、一段と大きな歓声がやけに大きく響いた。
……あ、騎馬戦、決着ついたのかな……。
ぼんやりと考えたわたしは、つい窓の外を確認する。
康晴は、気を取り直したように五十嵐先生の背中をぐいぐいと押しやった。
「……ほら、もうテントのほうに戻ってくださいよ。こいつは大丈夫そうなんで。他にも怪我してる生徒、いるんでしょ」
「そうそう、そうだった! じゃあ、梼原さんは無理しないでね」
「はい、ありがとうございます」
小柄な後ろ姿が、トタタタ、と半ば逃げるように保健室からいなくなる。
ドアが閉まる音とともに、康晴は脱力してベッドの隣の椅子に腰を下ろした。
「……あの、ありがとう」
「え?」
「お姫様だっこ」
わたしがニッと笑うと、康晴はみるみる内に顔を赤くした。


