選手がスタート位置に整列し終わると、音楽が止んで、騎馬の準備が促される。
白色の帽子をしっかりと被ったわたしは、緊張気味に、目の前に屈むチームメイトの背にまたがった。
……おーちゃんが、危機感……。
想像してみようとして、頭に浮かぶのは、少し長めの前髪から覗く、涼しげな瞳。
うーん……。
……ないな……。
その瞳の奥に、嫉妬という感情がうごめく様子をいまいち思い浮かべることができなくて、わたしは少し悲しくなった。
「よーい!」
——パンッ!
放送委員の掛け声の後に、スターターピストルがけたたましく鳴り響く。
わたしはハッとして、進み始めた騎馬の揺れに耐えるよう、下の選手の肩を掴む手に力を込めた。


