「今日の康晴が愛花と一緒にいるところ見たら……さすがの『お兄ちゃん』でも、ちょっとは危機感、芽生えたんじゃない」
「え……」
「大人っぽいのも魅力的だけどさ、ああいう学生らしいかっこよさも、いいよね」
美月の言葉に、わたしはこっそりと、応援団の配置につき旗を振る康晴を盗み見た。
選手を見送る横顔は真剣なもので、凛とした美しさがある。
ピンと伸びた背筋と背中で結ばれたタスキに、意外に肩幅広いんだな、などとぼんやり思った。
ふと、康晴の瞳がこちらに向けられて——、わたしはぐりんっ、と首を回した。
「……うん。確かに、かっこいい」
「だよね」
もう一度振り返ると、……遠くてよくわからなかったけれど、康晴がまだこちらを見ていたような気がした。


