結婚するのがイヤで家出したらクラスの男子と同棲することになった話【11/16番外編2追加】


「そうかもしれない。仁葵ちゃんはとっても素直だから……」


ものすごく心配そうな寧々子ちゃんに言われ、複雑な気分になる。
寧々子ちゃんのほうがずっと素直で純粋だと思うんだけど。


「でも、私がもっと慎重だったら、きっと狼くんにはついて行かなかったよ?」


クラスメイトだけどまともに会話をしたこともない異性だ。
行き場がなかったとはいえ、いま考えるとよくついて行ったなと思う。

狼くんは私の言葉に目をぱちりと見開いて固まった。
そしてゆっくりと、脱力するように小さく笑った。


「それは困るなあ」


とろけるような微笑みに、びっくりしたのは私だけじゃなかった。
向かいで寧々子ちゃんも丸い頬を赤く染めている。

塩対応で有名な完璧王子のこんな表情、誰も見たことがないんだから仕方ない。


「じゃあこれからは、俺以外を疑うことにしようね」

「狼くん以外?」