寧々子ちゃんたちが驚くのも無理はない。
だって私と狼くんは、いままで挨拶以上の会話なんてなかった、本当にただのクラスメイトだったんだから。


「何で飛鳥井が花岡さんと仲良く手ぇ繋いで登校してくんの!?」


向こうでも、誰かが寧々子ちゃんたちと同じようなことを問いただそうとしている。
狼くんの前にいるのは田沼くんだ。
赤茶色の髪と、そばかすがトレードマークの賑やかな男の子。

単独行動の多い狼くんだけど、クラスでは田沼くんと一緒にいることが多い。
というか、反応の薄い狼くんに、田沼くんだけがめげることなく話しかけているようなんだけど。


「仁葵ちゃん、聞いていますか?」

「えっ。あ、ええと……なんていうか、その」

「もしかして、飛鳥井くんとお付き合いすることになたとか!?」