ああ、まただ。
私の意見はないことにして、勝手に自分のいいように押し進めようとする。
おじいちゃんと剣馬のこういうところが、どうしても受け入れられない。
でも私がいくら拒否しても、ふたりのほうがずっと強くて、押し通す力があって、私はいつもまともに抗うことさえできなかった。
きっと今回も……。
「それ、誰が決めたの?」
顔をうつむけかけた私の肩を、大きな手が強くつかんだ。
しっかりしろと、励ますように。
「……何だと?」
「だから、仁葵ちゃんを連れて帰るのは決定事項だってやつ。誰が決めたの? 仁葵ちゃんの家族?」
「当然だ。仁葵の親はずっと心配してる。電話一本寄越したくらいで、安心するとでも思ったのか?」
「そうだね。俺も仁葵ちゃんのご両親には挨拶しなきゃなと思ってるよ。……でも三船、いま嘘ついたでしょ」
剣馬の眉が、ぴくりと動く。
私は戸惑いながら、ふたりの顔を交互に見た。


