結婚するのがイヤで家出したらクラスの男子と同棲することになった話【11/16番外編2追加】


だから寝てないといえば寝てないんだけど、でも……なんでこんな恥ずかしいこと言わなくちゃいけないんだろう。

まさか剣馬とこんな会話をしなくちゃいけない日が来るなんて、と気が遠くなりかけた私を、狼くんの腕が力強く支えてくれた。


「恋人同士だから、一緒に寝るのは当たり前だよ」

「お前には聞いてない」

「知ってる? 仁葵ちゃんてすっごくあったかいんだ。ふわふわで、柔らかくて、気持ちいい――」

「黙れ。殺すぞ」


低く冷たい声で言った剣馬は、たしかにその眼光で人を殺してしまいそうだった。
赤ん坊の頃からの付き合いだけど、こんなに怒っている剣馬を見るのははじめてかもしれない。


「仁葵。今日は何があろうとお前を連れて帰るからな」

「え……いやだよ。私、帰らないっていったよね」

「お前の意見は聞いてない。絶対に連れて帰る。これは決定事項だ」