じろりと剣馬が狼くんを睨む。
ハラハラして狼くんを見ると、彼は少し眠そうな顔で首を軽くかしげていて、いつも通りなようでほっとした。
「おはよう三船。俺たち、あんまり喋ったことなかったよね」
「あんまり? 飛鳥井と話したことは一度もなかったはずだ」
「そうだっけ? でもこれからは話す機会も増えるだろうからよろしく。なんたって俺、仁葵ちゃんの彼氏だし」
「……あ?」
剣馬の眉間に深いしわが寄って、もともと悪い目つきなのが、さらに鋭くなった。
長い付き合いの私でも震えそうになるのに、正面で受け止める狼くんは平然としている。
それどころかうっすら微笑みまで浮かべ始めるから、挑発されたように感じたのか剣馬の怒りのオーラが膨れ上がるのがわかった。
「誰が誰の彼氏だって?」
「俺が、仁葵ちゃんの」
「寝言は寝て言え」


