結婚するのがイヤで家出したらクラスの男子と同棲することになった話【11/16番外編2追加】


じろりと剣馬が狼くんを睨む。
ハラハラして狼くんを見ると、彼は少し眠そうな顔で首を軽くかしげていて、いつも通りなようでほっとした。


「おはよう三船。俺たち、あんまり喋ったことなかったよね」

「あんまり? 飛鳥井と話したことは一度もなかったはずだ」

「そうだっけ? でもこれからは話す機会も増えるだろうからよろしく。なんたって俺、仁葵ちゃんの彼氏だし」

「……あ?」


剣馬の眉間に深いしわが寄って、もともと悪い目つきなのが、さらに鋭くなった。
長い付き合いの私でも震えそうになるのに、正面で受け止める狼くんは平然としている。

それどころかうっすら微笑みまで浮かべ始めるから、挑発されたように感じたのか剣馬の怒りのオーラが膨れ上がるのがわかった。


「誰が誰の彼氏だって?」

「俺が、仁葵ちゃんの」

「寝言は寝て言え」