結婚するのがイヤで家出したらクラスの男子と同棲することになった話【11/16番外編2追加】


「仁葵」


なんて返したらいいのかわからずにいると、背後から名前を呼ばれた。
振り返ると、そこには冷たい笑いを浮かべた剣馬が立っていた。

こ、この顔は、剣馬がめちゃくちゃ怒ってるときの顔だ……!

思わず狼くんの背中に隠れると、ますます剣馬の機嫌が急降下していくのがわかった。


「スマホの電源切りっぱなしにしてんじゃねぇ」

「け、剣馬……」

「隠れてないで説明しろ、仁葵」


こういう、剣馬の命令口調で偉そうなところがイヤだ。
ああしろこうしろって、おじいちゃんみたいで。


「もう説明することなんてないもん。電話で話したのが全部だよ」

「あんなもん、説明の内に入らないだろ」

「おじいちゃんがあきらめるまで、家には帰らない。それまで彼氏の家にいる。……ちゃんと説明したじゃん」

「その彼氏ってのは、まさかそいつのことじゃないだろうな」