*
「仁葵ちゃん」
「あ。ありがとう、狼くん」
狼くんの手を借りて車を降りた途端、周りにざわめきが広がるのがわかった。
鳳学園の正門は、毎朝送迎の車でいっぱいになる。
正面玄関に集まっていた生徒たちに注目されて、緊張で体が固くなった。
「大丈夫だよ、仁葵ちゃん」
「狼くん……どうしよ。上手くできるかな」
「心配しないで。仁葵ちゃんは俺のことだけ見てればいいの」
そんなことを言って、私の頭に軽いキスを狼くんが落とす。
直後あちこちから女の子の悲鳴が上がり、倒れる子まで現れ、辺りはパニック状態になった。
どこかのお家の付添人や学園のスタッフが慌てて集まってくるのを見て、私は狼くんを引っ張り校舎の中へと逃げこんだ。
いきなりこんな事態になるなんて。
私、狼くんのモテ具合を舐めていたのかもしれない。
完璧王子のハッシュタグは伊達じゃなかった。
「仁葵ちゃん」
「あ。ありがとう、狼くん」
狼くんの手を借りて車を降りた途端、周りにざわめきが広がるのがわかった。
鳳学園の正門は、毎朝送迎の車でいっぱいになる。
正面玄関に集まっていた生徒たちに注目されて、緊張で体が固くなった。
「大丈夫だよ、仁葵ちゃん」
「狼くん……どうしよ。上手くできるかな」
「心配しないで。仁葵ちゃんは俺のことだけ見てればいいの」
そんなことを言って、私の頭に軽いキスを狼くんが落とす。
直後あちこちから女の子の悲鳴が上がり、倒れる子まで現れ、辺りはパニック状態になった。
どこかのお家の付添人や学園のスタッフが慌てて集まってくるのを見て、私は狼くんを引っ張り校舎の中へと逃げこんだ。
いきなりこんな事態になるなんて。
私、狼くんのモテ具合を舐めていたのかもしれない。
完璧王子のハッシュタグは伊達じゃなかった。


