「狼くんはちょっと体温低めだもんね」
「俺は冷たい人間だからね」
「そんなことないよ。困ってる私を助けてくれたでしょ。それに、手が冷たい人は心があったかいって聞いたことあるし。狼くんは優しいよ」
狼くんは私の髪をすくうように撫で、小さく笑った。
「俺が優しいのは、仁葵ちゃんにだけだから」
甘く囁いて、私の髪にキスをする狼くん。
私は彼の腕の中で、心臓が口から飛び出そうになるのを必死で耐えるしかなかった。
そんなこと言われて、私はどう反応したらいいの……!
狼くんはずるい。
かっこよくて、優しくて、びっくりするくらいマイペースで、私の心を振り回す。
とんでもない人の(ウソ)彼女になってしまったかもしれない。
少し低めの彼の体温を感じながら、明日から学校だけど大丈夫かなと、ひとり不安になるのだった。


