結婚するのがイヤで家出したらクラスの男子と同棲することになった話【11/16番外編2追加】


「看護師? 仁葵ちゃん、将来看護師になりたいの?」


だし巻きを食べようとしていた手を止め、狼くんが驚いたように聞いてくる。
私は気恥ずかしく思いながらも小さくうなずいた。


「わかってるよ。私みたいな立場の子が、こういう夢を持つのはおかしいって。でも……ずっと憧れてたの。小さいときに頭を打ってね。そのとき病院で私の不安を取りのぞくように接してくれた看護師さんが、素敵だったんだ。私もこんなかっこよくて優しい看護師さんになりたいって、思っちゃったんだよね」


裕福な家に生まれた自覚がないってあきれられるかと思ったけど、狼くんは「そうだったんだ」と相槌を打っただけだった。
しかもなぜか、申し訳なさそうな、暗い顔をしている。


「狼くん……?」

「ごめん。良い奥さんになる、なんて無神経なこと言って。料理が上手いから良い奥さんになれるわけでも、ならなきゃいけないわけでもないのにね」