「仁葵ちゃんすごい。どんな魔法を使ったの?」
「使ったのは普通の食材と調味料だよ。狼くんの口に合うといいんだけど」
私の心配をよそに、食事をはじめると、狼くんは次々と料理を口に運んでいった。
食べるたびに「食感が好き」「優しい味がする」「こんな美味しい卵焼き食べたことない」と嬉しいことばかり言ってくれて、私はそれだけでお腹がいっぱいになってしまった。
おじいちゃんに「女なのだから、料理は得手であるべきだ」なんて言われ、料理の勉強を強要されてうんざりした時期もある。
でもいま役に立って、生まれてはじめて、ちょっとだけおじいちゃんに感謝してもいいかなと思った。
「仁葵ちゃんは良い奥さんになるね」
「……そうかな。でも私、良い奥さんより、できる看護師になりたいんだ」


