……いま思い返すと、私ってば家にホテルにって抜け出してばかりかもしれない。
おじいちゃんに落ち着きがないと呆れられるのも仕方ないのかも。
あのとき助けてくれた金髪の男の子は、絵本に出てくる王子様のようにかっこよかった。
びしょ濡れで、頭が痛いって泣き叫ぶ私を、大人が来るまで抱きしめてくれていた彼に恋をするのは自然なことだった。
助けてくれた男の子が誰だったのか、結局わからないままだけど、私の心にはいまも初恋の彼が住んでいる。
その初恋の彼と狼くんは、少し似ているかもしれない。
狼くんは薄茶の髪と瞳だから別人だとわかっているけど、初恋の男の子をどうしても連想してしまう。
だからこんなに狼くんにドキドキしちゃうのかな。
大勢の人を魅了しながらも自然体で歩く彼を見ながら、そっとため息をつく。
客用布団を買い忘れたことに気づいたのは、狼くんのマンションに帰ってきたあとだった。


