結局狼くんに押し切られて、私が狼くんのベッドで眠ったんだ。

男の子のベッドで、しかも男の子の服を借りて眠るなんて初めてのことで、最初はドキドキして寝付けないと思ってたんだけど、疲れていたのか気づいたら朝になっていた。

そしてこの状況。
狼くんのベッドは広いから狭くはないけど……朝から心臓に悪い。


「それにしても……はぁ。綺麗な寝顔」


うらやましいくらいまつ毛が長い。
肌も白くてつやつや、唇もうすピンクで花びらみたい。
色素の薄い髪が、カーテンの隙間から射しこむ朝陽に照らされ輝いている。

昨日まではあまり話したこともない、ただのクラスメイトだったのになあ。

いまこうして、同じベッドで横になっているなんて不思議だ。
しかも思い切り抱き枕にされているし。

狼くんのファンの子たちが見たら、悲鳴を上げて卒倒しそう。
そして私は呪い殺されてしまうかもしれない。

想像するとゾッとして、私は慌ててもう一度狼くんを起こしにかかる。