『お前の気持ちはわかったけど、いま何時だと思ってる? 危ないだろ。迎えに行くから場所言えって』

「それは大丈夫。安全なところにいるから」

『安全って? 本間さんのところか』

「ちがうよ。……か、彼氏の家」


緊張で、声がうわずってしまった。
正しくはウソ彼氏の家なわけで、なんだか剣馬をだましているみたいで落ち着かない。

でも空いた手を、そっと狼くんに握られて、その優しさに少し心が癒された。


『彼氏ってお前……もうちょっとマシな嘘つけないのか』


ぎくりとして一瞬心臓が跳ねた。
さすが剣馬、鋭い。幼なじみ兼護衛対象の私をよくわかっている。
でも、ここで引き下がるわけにはいかない。


「ほ、ほんとだもん! おじいちゃんが考えを変えてくれるまで、彼氏と一緒に住むから!」