結婚するのがイヤで家出したらクラスの男子と同棲することになった話【11/16番外編2追加】


本当はお母さんに連絡しようと思っていたけど、仕方ない。
画面をタップして、スマホを耳に当てる。


「もしも――」

『やっと出たな。バカ仁葵、いまどこにいる?』


あきれたっぷりの声が聞こえてきて、思わずムッとしてしまう。
幼なじみが家からいなくなったっていうのに、もっと心配できないのかな。


『仁葵がいないって、青葉さん半泣きで俺に連絡してきたぞ。何やってんだよバカ』


青葉はお母さんの名前だ。
お母さんに心配かけちゃったか。でも、おじいちゃんから守ってくれなかったんだから、お母さんにも反省してほしい。


「剣馬。私、家出した」


剣馬の名前を出した途端、隣りの狼くんが反応を示した。
会話を聞こうとするように、スマホに耳を近づけてくる。

つまり、私にぴったりくっついていて、近い。
ソファーが沈んで、体温が、吐息が……!