そっか！ それは盲点だった！
私が飛鳥井くんに群がる女の子への牽制になるのと同じように、飛鳥井くんは私にお見合いをさせようとするおじいちゃんへの牽制になるんだ。
ただ「お見合いなんてしない！」って言うより、「大好きな恋人がいるからお見合いなんてしない！」のほうがずっと説得力がある。
居候までさせてもらって、お見合いを断る口実にもなってもらえるなんて、私に都合よすぎじゃないかな？
私も他に何かできればいいんだけど、残念ながら思いつかない。
「じゃあ、交渉成立ってことでいい？」
「……うん。よろしくお願いします！」
「こちらこそ。ってことで、早速だけど仁葵ちゃんはお家に連絡してくれる？ 無事ってことだけでも連絡しないと、警察が動いちゃいそうだし」
「わかった。……彼氏の家にいるって言ってもいい？ しばらく帰らないって」
