馬だけど、犬。
三船家は花岡家の忠実な家臣だから、花岡家の当主であるおじいちゃんの命令は絶対なのだ。
私のボディーガードでも、私に仕えているわけじゃない。
そしていずれ、大人になれば剣馬もお父さんの下で花岡家の仕事を手伝うようになって、私からは離れていくんだろう。
そう考えると、寂しいような、せいせいするような、少し複雑な気持ちになる。
ううん。いまはそんなことより、飛鳥井くんだ。
「家出はしたけど剣馬の護衛は続くと思うから、心配しなくていいよ」
「……花岡さん、三船と付き合ってるってわけじゃないんだよね?」
「えっ!? ないない! もしそうだったら、おじいちゃんもお見合いなんて言い出さないよ!」
たまにこういう勘ちがいをされることがあるけど、私たちはそんな風に見えているんだろうか。
そんな色気のある関係じゃ、全然ないのに。


