私自身はただの世間知らずの子どもで、横暴な祖父に対抗する手段が家出しかないという凡庸さなのだから。
「なるほどね。そういう感じか」
「どういう感じ?」
「いや、何でも。花岡さんが恋人になってくれれば、クラスは一緒だし、ずっと一緒にいられる。登下校も一緒なら、ないとは思うけど、もし、仮に、万が一、君に文句を言ってくるような人がいても、俺が守れる」
仮定を強調しすぎだけど、そんなに私は文句を言われないだろうと思っているのかと不思議だった。
飛鳥井くんこそ、自分がモテることの周囲への影響に自覚がないんじゃないだろうか。
「私は大丈夫だよ。一応ボディーガードがついてるし」
「ボディーガード……。ああ、隣りのクラスの?」
「あ、知ってる? 三船剣馬。まあ剣馬はボディーガードっていうより、お目付け役というか、監視役みたいなものだけどね」


