飛鳥井くんはぼんやりと眠そうだったのを、少し困ったような表情に変えた。
ゆるゆると首を横に振り「それはできないかな」と言う。
「こっちでやることがあるんだ」
「そう……。じゃあ、私が飛鳥井くんの恋人として振舞うことで、ファンの女の子たちを遠ざければいいってことか」
「うん。花岡さんなら女子も文句は言ってこないだろうし」
「え。どうして? むしろ、何あの女!ってすごい色々言われそうだけど」
「だって花岡さんだし。……もしかして、自覚ない?」
自覚? 何の?
もしかして、花岡グループのことを言ってるんだろうか。
でも鳳学園の生徒はだいたい裕福な家庭の子で、皇族の流れを組む旧華族の令嬢や、梨園の人間国宝の曾孫など、有名な生徒も多い。
その中で私が注目される要素はほぼないと思っている。


